Ikimono Dayori sono58 |
カエル池プロジェクト Page1 |
雑木林の新緑やヤマザクラの淡いピンクが里山を飾り、生きもの達の息吹を感じる季節になりました。 毎年、春になると両生類の観察を楽しんでいるのですが、両生類(カエルやサンショウウオ)を取り巻く環境は悪化する一方です。 アライグマやウシガエル、アメリカザリガニ等の外来種による捕食圧。 生息環境の減少や消失、または質的悪化。 それに加えて、カエルツボカビ症による影響も懸念されています。 その中でも、里地・里山に生息するカエルやサンショウウオの生息に大きく影響を与えているのが、繁殖環境の減少や消失です。 里地・里山に生息するカエルやサンショウウオは、稲作に伴う土地利用に大きく依存して生息しています。 水田や溜池、用水路等は、お米を生産する用地や施設だけではなく、カエルやサンショウウオにとっても重要な繁殖環境として機能していたのです。 |
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雑木林の新緑とヤマザクラ |
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また水田は、雨水を一時的に貯える調整池としての機能も持っており、防災や国土保全にも役立っています。 その水田が、1970年から本格化する減反政策と、日本の工業化に伴う農業離れによる後継者不足等により、次々に休耕田化していったのです。 管理されなくなった水田には、徐々に土砂や落ち葉が流入・堆積し、水深が浅くなっていきます。渇水期には干上がり植物が繁茂し、乾燥化に拍車をかけます。 現在の谷戸の休耕田は、このような経緯をたどり水深が浅くなった場所がほとんどです。 このような休耕田は、貯水量が少ないため、晴天が続くとすぐに干上がり、せっかく産卵されたカエルの卵塊やサンショウウオの卵嚢は、干からびて死んでしまいます。 休耕田の乾燥化がもっと進むと、休耕田に産卵する事ができなくなり、用水路の溜まりに産卵する様になるのですが、このような場所に産卵された卵嚢や卵塊は、雨が降ると流されてしまい、結局死んでしまいます。 このような状況が続くと、カエルやサンショウウオの生活環が途絶えてしまい、急速に衰退していくのです。 今まさにこのような状況が日本各地で起こっています。 西多摩地域のカエルやサンショウウオの状況も同じです。 |
この状態を何とかせにゃーならん!・・・この谷津田をどげんかせにゃーならん! ・・・てな調子で、ヒダサンショウウオと異種同名、ノンちゃんことひださんの旗の下、ここ掘れワンワンと集結した老若男女による「カエル池プロジェクト」。 2006年の冬期から地権者の理解と協力を得て、スコップ片手に乾燥化の進んだ休耕田で、両生類の繁殖環境の復元・創出を目的として浚渫作業を行い、いままでに7つのカエル池を掘っています。 |
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浚渫風景 |
浚渫時の様子(2007年12月16日) |
繁殖期の様子(2008年4月12日) |
文と写真:佐久間 聡(さくま さとし) |