その52 ブチサンショウウオ観察日記−1
Ikimono Dayori sono52
ブチサンショウウオ観察日記 Page1

 4月8日 広島県の北西部、山口県と島根県の県境に位置する冠山にブチサンショウウオの観察に行ってきました。
 通常、ブチサンショウウオの観察適期は4月下旬から5月上旬なのですが、今年は暖冬だったので産卵も早まるだろうと予想して日程を設定しました。
 冠山での観察は3年ぶり、登山口で飲み物を買ってゆっくりと歩き出します。
 水が引かれたばかりの水田ではシュレーゲルアオガエルが鳴いているのですが、数は多くありません。
 ヤマアカガエルやニホンアカガエルの産卵も始まっていません。
 やっぱり、まだ早いのかなー・・・不安がよぎります。

ニホンイモリが生息する水田 ニホンイモリ(アカハライモリ)
ニホンイモリが生息する水田
ニホンイモリ(アカハライモリ)

 畦をつたって水田と用水路を観察しながら進みます。取水口の水溜まりで、ニホンイモリ(アカハライモリ)が集まっているのを見つけました。
  雄ばかりのようですが、繁殖のために集まって、雌が来るのを待ち受けているようです。
ニホンイモリ♂(腹部) ヤマアカガエル♂
ニホンイモリ♂(腹部)
ヤマアカガエル♂

 写真撮影の後で、網で水中の落葉ごとすくってみることにします。
 イモリに混ざってヤマアカガエルの成体も網に入りました。
 ヤマアカガエルも繁殖期間近のようです。
 ここであまり時間を使うわけにはいきません。
 水田を後にし、林道を歩きます。
 林道脇ではカワヤナギが開花し、上流から流れてきたのかワサビも花を咲かせています。
 写真撮影しながら登山口までやってきました。
 長靴に履き替えて、登山道を登り始めます。林道脇にはサンインスミレサイシンが可憐な花を咲かしています。

カワヤナギ ワサビ サンインスミレサイシン
カワヤナギ
ワサビ
サンインスミレサイシン

 登山道は、本流の沢と併走するように緩やかに上って行きます。
 この沢にはハコネサンショウウオの幼生がたくさん生息しています。
 ミトコンドリアDNA解析用のサンプリングを同好の友人に頼まれていたので、寄り道をすることにします。
 流水性のサンショウウオの幼生は、流水の中でも比較的流れの緩やかな水際や水深の浅いところにある石の下に多く潜んでいます。
 石を片手でゆっくり持ち上げながら幼生を探します。
 3cm位の幼生から上陸直前の8cm位の幼生が次々と現れます。
 ハコネサンショウウオの幼生は、孵化してから成長し上陸するまでに3年近くかかるため、3段階の大きさの幼生が見られます。
ハコネサンショウウオの幼生が生息する沢
ハコネサンショウウオの幼生が生息する沢

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文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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