その49 秋の野山散歩(カマキリ観察編)−1
Ikimono Dayori sono49
秋の野山散歩(カマキリ観察編) Page1

 秋も深まり、北の国から紅葉や初雪の便りが届き始めています。
 我家から見える富士山も冠雪しています。
 抜けるような青空に誘われて、横浜市南部に広がる円海山で昆虫観察をしました。
 目的は秋の昆虫の主役、あの凶暴なカマキリの観察です。
 円海山周辺には5種類のカマキリが生息しているのですが、パーフェクト目指して観察を開始しましょう。
 散策道脇の高茎草地や林縁のソデ・マント群落を観察しながらゆっくり歩きます。
カマキリが多く生息する高茎草地カマキリが多く生息する高茎草地

カマキリが多く生息する高茎草地

 最初に見付けたのは、チョウセンカマキリです。
 チョウセンカマキリは、褐色型と緑色型の2つのタイプがあり、日本で二番目に大きなカマキリです。
 明るく開けた高茎草地や畑地、林縁に多く生息しているカマキリです。
 日本で一番大きいオオカマキリに似ていますが、少しスリムで小さく、前足の付け根部がオレンジ色であること、後羽が薄茶褐色であることで見分けることが出来ます。
 卵鞘は、少し硬く、オオカマキリの卵鞘を細長くした形です。高茎草本の茎や樹木の幹、壁などに産卵します。

チョウセンカマキリ
※生きものの写真はクリックすると拡大写真が表示されます
チョウセンカマキリ(褐色型) チョウセンカマキリ(緑色型) チョウセンカマキリ(後羽)
チョウセンカマキリ(胸部) チョウセンカマキリ(卵鞘)
A:緑色型、B:褐色型、C:胸部、D:後羽、E:卵鞘

 次に見付けたのは、日本で一番大きなオオカマキリです。
 オオカマキリも林縁の高茎草地やソデ・マント群落に多く生息しているカマキリです。
 チョウセンカマキリと同様に、オオカマキリも褐色型と緑色型の2つのタイプがあります。チョウセンカマキリに似ていますが、一回り大きく、前足の付け根部が薄黄色であること、後羽が紫褐色であることで見分けることが出来ます。
 卵鞘は、大きく釣鐘形でスポンジ的なやわらかさです。主に、ススキやセイタカアワダチソウなどの高茎草本の茎に産卵します。
オオカマキリ
オオカマキリ

オオカマキリ
オオカマキリ(緑色型) オオカマキリ(褐色型) オオカマキリ(後羽)
オオカマキリ(胸部) オオカマキリ(卵鞘)
オオカマキリ A:緑色型、B:褐色型、C:胸部、D:後羽、E:卵鞘


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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