Ikimono
Dayori sono38
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トウキョウサンショウオ観察日記−2(東京個体群)
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※写真をクリックすると拡大表示します
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年明けからの記録的な降雨の少なさで、トウキョウサンショウウオの産卵が大幅に遅れていましたが、3月下旬から4月の上旬のまとまった雨で、産卵もピークを向かえたようです。 そこで、毎年観察を行っている草花丘陵の雑木林にトウキョウサンショウウオの観察に行きました。 最初の場所は、道路脇の水場です。 |
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雑木林の新緑
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ここは、有名なトウキョウサンショウウオの産卵ポイントで、毎年多くの卵嚢を観察できるのですが、今年はあまり産卵していません。やっとの思いで倒木の下に産み付けた2対の卵嚢を見付けました。 この産卵ポイントは、土砂が貯まって徐々に水深が浅くなったことに加え、今年の降雨の少なさで、最近まで干上がっていたのかもしれません。 |
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倒木の下に産み付けられていた2対の卵嚢
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次の場所は雑木林の谷戸にひっそりと有る、放棄水田です。 ここは、安定した湧水があるため、今年のように降雨が少ない年でも安定した水場があるため、沢山産卵しているはずです。 |
雑木林内の放棄水田 |
3対の卵嚢を確認した小さな水場 |
下流側の水溜まりから、上流に向かって調査の開始です。 最初の水溜まりは小さいので、期待薄なのですが、手鍬で落ち葉をゆっくりかき分けて慎重に探します。するとどうでしょう最初の一かき1対の卵嚢が出てきました。 落ち葉が沢山堆積しているような場所では、卵嚢は落ち葉の下に産み付けているのです。 結局ここでは、3対の卵嚢を確認しました。 |
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発生があまり進んでいない3対の卵嚢 |
次の場所でも、同様に落ち葉をかき分けます。ここでは、沢山の卵嚢に混じってひときわ小さい1対の卵嚢を見つけました。 おそらく今年はじめて性成熟し、産卵に訪れた若い雌個体による卵嚢だと思います。一房中の卵数も通常の半分ぐらいしか入っていません。あまりの可愛さに通常の大きさの卵嚢と列べて写真撮影しました。 結局この日は二箇所の谷戸で50対近いトウキョウサンショウウオの卵嚢と15匹の成体、1匹のタゴガエルを確認することが出来ました。 |
大きさの違う卵嚢 |
色々な発生段階の卵嚢 |
タゴガエル |
手や顔についた泥を落として、遅い昼食にします。 芽吹いたばかりの新緑に囲まれての昼食は本当においしいです。 鳥のさえずりを聞き、成虫越冬したテングチョウや早春だけ姿を見ることが出来るコツバメやミヤマセセリに目を奪われながら過ごす心安らかな一時です。 重い腰を上げて、帰路につくことにしましょう。 来年もまたトウキョウサンショウウオやタゴガエルに会いにこの雑木林を訪れる事を約束して。 |
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4月11日 さくちゃんこと佐久間聡 |
文と写真:佐久間 聡(さくま さとし) |