さくちゃんの生きもの便り(その22) 春の生きもの観察日記−4
※すべて拡大写真ありマス

5月12日 ヒダサンショウウオの観察日記


ヒダサンショウウオが産卵する沢

ブヨ除けに、ほっかむりをして卵嚢を探すKさん

 「ヒダサンショウウオを見に行きませんか?」という、同好のKさんの誘いで、連休明けの週末に、のこのことヒダサンショウウオを見に行ってきました。
 風邪をこじらせていて、体調は万全ではないのですが、ヒダサンショウウオの成体や卵嚢が見られるかもしれないとあっては、行くっきゃないでしょう!てなのりで、12日の朝を迎えました。
 9時に東青梅で待ち合わせし、Kさんの車に乗せていただき、鍾乳洞で有名な奥多摩の日原に向けて出発です。相変わらずのスピードで日曜ドライバー共を蹴散らせてあっという間に、登山口がある小さな広場に到着。そこから登山道を30分ほど歩いて渓流にたどり付き、そこからヒダサンショウウオが産卵していそうな沢を探しながら渓流を詰めていきます。でもなかなかいい沢が見付かりません。そこでKさんが以前見付けたという沢に、もう一度入ってみることにしました。

 傾斜が30°以上ある沢を、一抱え以上ある石をはぐりながら下流から上流に詰めていきます。
 15分位経ったころでしょうか。沢から2m位離れた石をはぐると・・・。
 いました。ヒダサンショウウオの成体です。黄色の斑紋と淡く紫色の光沢がある黒の地色がとても綺麗です。


ヒダサンショウウオの成体

 写真撮影をしていると、今度はKさんが、ヒダサンショウウオの卵嚢を、沢の中にある石の裏から見付けました。これも写真撮影します。
 とても綺麗な卵嚢で淡く虹色に輝いています。産卵してかなり時間が経っているらしく、発生が進んでいます。
 次々と石をはぐりながら登っていきます。「生きもの便りその10」で紹介したものと同じくらいの大きさの越冬幼生も見付かりました。

石の裏に産み付けられたヒダサンショウウオの卵嚢

 

 沢をかなり詰めた場所でKさんはハコネサンショウウオの雌も見付けました。これも写真を撮らせてもらいました。産卵の前でお腹がパンパンに膨らんでいます。
 かなり沢の上部まで来たし、3時を回ったため、この辺で打ち切ることにしました。
 結局この日は、ヒダサンショウウオの複数の卵嚢、幼生、成体とハコネサンショウウオの幼生と成体を観察することができ、心地よい疲労感を抱えて帰路につきました。

ハコネサンショウウオの成体(雌)

 今回の生きもの便りはこれでおしまいです。
 21世紀最初の生きもの便りの掲載が送れたため、3月から5月中旬までの観察日記をまとめて掲載しました。
 次回は、5月下旬に行った奄美大島の話しをしたいと思っています。

6月24日   さくちゃんこと佐久間聡

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文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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