さくちゃんの生きもの便り(その20)
  パプアニューギニア昆虫採集の旅−1
さくちゃんとパプアニューギニアの原住民
 
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 皆さんはニューギニア島をご存知ですか?
 ニューギニア島は、オーストラリアの北に浮かぶ島で、グリーンランド島に次ぐ世界で2番目に大きな島です。国は、島の中央部を境に西側はインドネシア、東側はパプアニューギニアとに分かれています。
 ニューギニア島は、熱帯地域に位置し、地形が変化に富むと共に、オーストラリア大陸から分かれた島なので、動物ではクスクス等の有袋類、鳥類では各種のゴクラクチョウ、爬虫類ではエリマキトカゲ等の世界的に知名度が高い、希少でユニークな多くの生きものが生息しています。
 特に蝶々では、南米アマゾンと並んで美麗蝶の世界二大産地と言われています。そう、虫屋(昆虫採集や研究を行っている人)なら一度は捕虫網を振ってみたい聖地の様な所なのです。
 私もご多分に漏れず、小さい頃から漠然と何時かはニューギニアで昆虫採集をしたいなーと思っていました。成人してからは、インド・オーストラリア区に生息するカザリシロチョウという綺麗なシロチョウの研究と収集を始めたため、この仲間が多く生息しているパプアニューギニアへの憧れは募るばかりでした。
 でもなかなか実行に移せませんでした。それは、金銭的な物や家庭的な問題もありますが、パプアニューギニアは昆虫採集の規制が厳しく、個人で採集許可証や採集品の国外持ち出し許可証を取得するのが面倒だったからです。

 もう5年も前になりますが、昆虫専門誌を発行している会社で上記の許可証を取得し、自由に昆虫採集ができる2週間弱のツアーが企画されました。これだったら面倒な各種の申請をしなくても採集できそうです。家族の了解を得て同好者であり会社の同僚でもあるT君と2人で参加することにしました。
 今回の生きもの便りは、その時のパプアニューギニア昆虫採集旅行で出会った生きものや人々の話をすることにしましょう。


さくちゃん(左)と現在アニメにはまっているT君(右)

 12月23日。前日に始めたあわただしい荷物のパッキングを何とかまとめ、パプアニューギニアへ出発する日を迎えました。
 ニューギニアの原生林に包まれて小型で綺麗なカザリシロチョウを採集したい、自分の手でトリバネアゲハやミイロタイマイを採集し、子供達のお土産にしたいと言う思いで参加を申し込んだものの、年末の慌ただしさや、たまった仕事に追われ忙しい日々の連続で、心身共に疲れ果てていました。
 それに加えて、いつもは1人か2人で昆虫採集の採集ポイントにのこのこ出かけ、カザリシロチョウやその他の気に入った蝶々が現れると採集するという、のんびりスタイルがお好みのため、スケジュールを管理されたツアー旅行に対する不安を多少なりとも抱えていたのですが、そこは虫屋同志、和気あいあいのうちに成田を出発したのでした。

飛行機は香港を経由して翌24日の朝にパプアニューギニアの首都、ポートモレスビーに到着しました。そこから国内線に乗り換えてラエという都市に行くのですが、国内線の待合室は我先にと航空券を求める人でごった返していました。日本では考えられないことですが、大きなナイフや斧を持った原住民達も平気で国内線に乗り込みます。ぶっそうな刃物を自慢げに持った原住民達と我々を乗せた飛行機は、無事にポートモレスビーを飛び立ち、急旋回を繰り返した後ラエに到着しました。


ポートモレスビーの国際線空港
同空港内
同空港内の待合所周辺
同バスターミナル

パプアニューギニア昆虫採集の旅−2へ続く

文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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