さくちゃんの生きもの便り(その20)
パプアニューギニア昆虫採集の旅−2

 ここからは、ワゴン車で宿泊地のブロロという村に向かいます。 我々を乗せたワゴン車は、度重なる故障を繰り返したあげく、途中地点のガベンシス村に到着し、小休止がてら採集を試みました。


故障続きのワゴン車
修理の時間も林内で昆虫を探すあきれた虫屋達

 メガネトリバネアゲハやオオルリアゲハがクサギに似た赤い花に時々吸蜜にきます。シロチョウの仲間やタテハチョウの仲間も河原に集まって来ていました。でも一番多く集まって来るのは村人や子供達です。
 30分程度の採集を終えてワゴン車で再び移動の開始ですが、同行のT君はこの村で早くもメガネトリバネアゲハやオオルリアゲハを採集していました。

ガベンシス村の風景

 車を走らせるにつれて車窓風景は原生的な低地多雨林から草原へと変化しました。不毛の大地、アランアランの草原です。この草原は、森林を伐採した後に、植林等を行わないで放置したため、表土流出により非栄養化と乾燥化が進み草地化したものです。これまでにボルネオ島の大火災後の森林をはじめとして東南アジアの多くの森林を見てきましたが、ここまで痛めつけられた森林はそう多くありません。


ガベンシス村の住民達

アランアランの草原

 帰国後の調べで、当時の伐採木の主な輸出国は日本であったらしく、我々の経済発展が熱帯の自然やそこから育まれる地域文化の消滅等の上に成立している現実の一面をかいま見ることとなりました。
 我々を乗せたワゴン車は、夕方、目的地であるブロロ村のパインロッジに到着しました。

ブロロ村のパインロッジ


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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