さくちゃんの生きもの便り(その16)
春の渓流散歩(ハコネサンショウウオを探しに)-1

写真は、クリックすると拡大表示します。

 ゴールデンウイークの初日にあたる4月29日、家族全員で西丹沢に出掛け、渓流散歩を楽しんできました。
 今回の目的は、美しい新緑に包まれて昼食を食べ、渓流を散策しながら、生きもの便りでまだ紹介していないハコネサンショウウオを見つけ、写真撮影をする事です。
 今回の生きもの便りは、ハコネサンショウウオを中心に4月29日に西丹沢で観察した生きものの話しをしましょう。

 私の住む神奈川県や東京都には、ハコネサンショウウオ、ヒダサンショウウオ、トウキョウサンショウウオの3種のサンショウウオが生息していることは、生きもの便りその14で紹介しました。
 そのサンショウウオの内、ハコネサンショウウオとヒダサンショウウオの2種は、流水性のサンショウウオですが、ハコネサンショウウオは成体になっても肺をもたないためハコネサンショウウオ属に分類され、サンショウウオ属のヒダサンショウウオ(「生きもの便り」その10で紹介しています)とは別属なのです。一方、丘陵地の雑木林に生息し、樹林地内の湧き水の水溜りや谷戸田等の止水に産卵する、止水性のサンショウウオのトウキョウサンショウウオ(「生きもの便り」その14で紹介しています)はヒダサンショウウオと同じサンショウウオ属です。

 では、前置きはこれぐらいにして、4月29日の話しを進めましょう。


4月29日
 

 ゴールデンウイーク初日のため、東名高速道路下り線の渋滞を予想していたにもかかわらず、出遅れて8時30分に出発、案の定渋滞に捕まって、目的の丹沢湖上流の沢に到着したのは、11時を回った頃でした。
 車を駐車場に停めて家族全員が大小のザックを背負い、上流に向かって渓流を歩いていきます。砂防堤を4つ超えた所で昼食をとることにしました。
 天気も良く、色々な濃さの新緑が大変綺麗です。ヤマザクラの花びらが粉雪のように降ってきます。昼食は、おにぎりと少しのおかず、インスタントのスープとカップヌードルですが、まわりの景色ときれいな空気が何よりのおかずです。
 少し休憩をして、上流に向かって散策を開始しました。まず最初に見つけたのが砂の上にできた不思議なクレーター。これはウスバカゲロウの幼虫が作った住処です。ミヤマキケマンソウも可憐な花を咲かせています。 

新緑の美しい沢
ミヤマキケマンソウ

 ウスバカゲロウの幼虫は、すり鉢状の穴を掘り、穴の底に潜っていて、小さな昆虫が穴の中に落ちて這い上がれなくなったところを捕まえて食べることから、アリジゴクと呼ばれています。何匹かを掘り出して、子供達の手のひらに乗せて写真を撮りました。お尻と脚を使って潜ろうとするので、くすぐったいみたいです。


ウスバカゲロウの巣
アリを食べている幼虫
ウスバカゲロウの幼虫


春の渓流散歩(ハコネサンショウウオを探しに)-2 に続く

文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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