さくちゃんの生きもの便り(その15)
さまよえる美蝶 ホソオチョウ-1

写真は全て山梨県上野原で撮影/クリックすると拡大表示します

 皆さんは、ホソオチョウという蝶々を知っていますか?
 子供の図鑑や古い蝶類図鑑を見ても、載っていないかもしれません。
 ホソオチョウは、1属1種のアゲハチョウ科の仲間で、後翅に長い尾状突起(しっぽ)を持ち、雌雄の色彩が異なる、大変美しくかつユニークな蝶々です。 元々朝鮮半島から中国、沿海州地方に分布していたチョウで、日本に生息していませんでした。1970年頃から東京近郊で見つかるようになりなりましたが、これは韓国から誰かが人為的に持ち込んだものと思われています。1980年代以降は発生が下火になってきていると思われますが、いまだに分布地を変えながら発生を繰り返しています。最近では静岡や京都等にまで分布を拡大しているようなのですが、飛翔力が弱いチョウなので、これも人為的に移動したものではないかと思います。

 今回の生きもの便りは、さまよえる美蝶“ホソオチョウ”の話をしましょう。

 今回の生きもの便りでホソオチョウを紹介する理由は、現在におけるホソオチョウの分布の全体像をつかんでみたいからです。
 そのために皆さんの中でホソオチョウを見たことがある人は、何時何処で見つけたかを連絡してほしいのです。またこれから草原や河原、農作地(茶畑や桑畑等)に行かれる予定のある人は、是非気を付けて見て頂いて、「○○で見つけた・・・」「○○に行ったけど見つけられなかった」等々の連絡をして頂きたいと思うのです。

ホソオチョウ(♀)

 是非、ご協力お願いします。

 では、ホソオチョウの説明をしましょう。

ホソオチョウ(♂)
ホソオチョウ(♂)

分布

 東京都の日野市、八王子市、上野原、山梨県の大月市、神奈川県の藤野町等で発生した記録があります。最近では、静岡や京都でも発生していると聞きます。
 僕は、東京都の八王子市と上野原、神奈川県の藤野町で観察したことがあります。


生息地  
 僕が観察した場所は、河原、茶畑、桑畑、梅林、墓地等が多かったです。
 丘陵地や低山地の明るい草地で、かつ部分的に林が残り風当たりが弱い場所に多かった印象があります。しかも、食草のウマノスズクサが自生していないと発生できません。


ホソオチョウの食草
ウマノスズクサ
 
食餌植物
 幼虫の食草はウマノスズクサのみが知られています。
 成虫は、クリ、ハルジオン、シロツメグサ等の白い花で吸蜜しているのをよく見かけます。

さまよえる美蝶ホソオチョウ-2に続く

文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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