さくちゃんの生きもの便り(その15)
さまよえる美蝶 ホソオチョウ-2

写真は全て山梨県上野原で撮影/クリックすると拡大表示します

生態

 成虫は4月下旬から出現し、9月下旬まで見られます。年3回位、発生していると思います。
 成虫の飛び方は非常に緩やかで、滑空するように飛びますが、すぐに草木にとまります。風が強い日や曇天時にはあまり飛びません。
 雌は羽化後間もなく交尾します。交尾中は雄が雌にぶら下がっている状態で下草等に静止しています。

交尾中のホソオチョウ

 交尾後の雌は、ウマノスズクサの葉裏や茎、またはウマノスズクサの近くの別の植物に10〜100程度の卵塊を産み付けます。

ウマノスズクサの葉裏に
産み付けられた卵塊
ウマノスズクサの茎に
産み付けられた卵塊

 孵化した幼虫は、ウマノスズクサを食べながら成長し、2〜3齢まで食草の葉裏で群生します。4齢位まで成長すると、ウマノスズクサはほぼ食べ尽くされた状態になり、幼虫は食草を求めて分散していきます。5齢(終齢)になると、単独で食草の茎や葉裏にとまっているところをよく見かけます。
 蛹は、他のアゲハチョウのように腹端に固定した糸が強くないため、すぐに離れて落下してしまいます。


ホソオチョウの幼虫
(3齢〜4齢幼虫)
ホソオチョウの幼虫
(4齢幼虫)
ウマノスズクサの茎に
とまる終齢幼虫

ホソオチョウを見付けるこつ

丘陵地や低山地の河原、茶畑、桑畑、梅林、墓地等の土地利用地の明るい草地で、かつ部分的に林が残り風当たりが弱い場所を注意して探してみて下さい。

 

上記のような場所で、食草のウマノスズクサが生育していることを確認して下さい。もし、ウマノスズクサを見つけたら、食べ痕があるかどうか、または卵がついているかどうか調べて下さい。

 

成虫を見つけるなら天気が良く風の弱い日に探して下さい。ホソオチョウは、飛翔力が弱いため、曇天や風の強い日は飛ばないため目に付きにくいです。


 もしホソオチョウを見つけたら、連絡して下さい。
 ホソオチョウは、飼育も簡単なチョウなので、卵や幼虫を見つけたら飼育に挑戦してみるのもいいと思います。家の近くに食草のウマノスズクサがあれば、脱皮や羽化の様子も観察できるはずです。
 丘陵地や低山地の河原や畑地等には、身近な生きものが沢山生息しています。ホソオチョウは見つからなくても、きっとすばらしい生きもの達とのふれあい体験が出来ると思います。
 さあ、ポケット図鑑と捕虫網を片手に近くの河原や草地等に出かけてみよう!!

4月19日 さくちゃんこと佐久間聡



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文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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