さくちゃんの生きもの便り(その14)
春の丘陵地散歩(トウキョウサンショウウオを探しに)ー2

写真は、クリックすると拡大表示します。

 比較的大きな谷地形の沢に車を停め、林の中に入っていきます。昔は谷戸田として使っていたらしく、棚田のような湿地が続いており、その中に小さな沢と水溜まりが続いています。
 落ち葉をかき分けながら卵嚢を探します。ありました。落ち葉の下から1対の大きな卵嚢を見つけました。でもこの水田溜まりではこの1対だけだったので、次の水溜まりに移動します。今度は2対の卵嚢を見つけました。産卵に来ていたトウキョウサンショウウオの成体も見つけました。次の水溜まりでも卵嚢と成体を見つけました。これらを子供達に持たせて記念写真を撮ったりしながら、次々と水溜まりを調べます。

トウキョウサンショウウオの
卵嚢(1対)
落ち葉に生み付けられた
卵嚢(1対)
産卵場で見つけた成体
(あきる野市)
産卵場で見つけた成体
(あきる野市)

 ヤマアカガエルの卵塊も見つけました。大きなヤンマの仲間と思われるヤゴも沢山見つけました。 この内、トウキョウサンショウウオの1対の卵嚢とヤゴを採集して飼育することにしました。飼育結果は、飼育方法と合わせて、いずれ生きもの便りで紹介したいと思っています。
 気持ちのいい雑木林の中で、今日見た生きものの話に花を咲かせながら遅い昼食をとり、家路につきました。


ヤンマ類と思われるトンボのヤゴ
ヤマアカガエルの卵塊

 里山に生息するトウキョウサンショウウオは、ギフチョウと同じように、開発による生息環境の減少や雑木林管理の放棄等による生息環境の悪化で、年々少なくなってきています。この丘陵地でも、一部の谷では生活用品や古タイヤが沢山捨てられていて、まるでゴミ捨て場と化しています。
 様々な生き物を育む、身近で貴重な里山の雑木林に関心を寄せて、土地所有者だけでなく、みんなで、みんなの財産として里山の雑木林を守っていく時代になっていると思います。
 今回の生きもの便りは、トウキョウサンショウウオにスポットを当てましたが、同様な環境で三重県以西ではカスミサンショウウオ、東関東以北ではトウホクサンショウウオ等が生息していますので、ぜひ探してみてください。
 サンショウウオの飼育は、水生幼生の時は簡単なのですが、上陸した後の餌やり等が難しく、熟練者でないとうまく飼育できないと思います。できれば生息地で観察するだけにとどめ、もしどうしても飼育してみたいのであれば1卵嚢を持ち帰り飼育してみてください。くれぐれも沢山採集することは避けてください。
 では、今回の生きもの便りはこれでおしまいです。

4月5日 さくちゃんこと 佐久間聡


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文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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