さくちゃんの生きもの便り

Ikimono Dayori sono74

カエル池プロジェクト2010〜2011(前編)

乾燥化した休耕田
乾燥化した休耕田

「カエル池プロジェクト」は、両生類の繁殖環境の復元・創出を目的としたプロジェクトです。

2006年の冬期からスタートして、既に4年が経過しました。

毎年、地権者の理解と協力を得て、地域住民・市民団体・学生などに参加していただき、乾燥化の進んだ休耕田で浚渫作業を行い、いままでに数多くのカエル池を掘っています。

カエル池 プロジェクト 2010〜2011」では、2010年12月に土砂が堆積した既設のカエル池の浚渫作業と新たな「カエル池」造りを行い、アライグマ対策として、カエル池の水面にシェルターを設置します。

また、「カエル池」造りによる、両生類の繁殖環境の復元・創出の効果を検証するためのモニタリング調査として、2011年の春に観察会を行う予定です。この様子は後編で報告します。

 

2010年12月11日

作業開始前

2011年の繁殖期に向けてのカエル池造りの日です。

小春日和に恵まれて、今までで最も多い20人の老若男女の参加があり、予定通り浚渫作業を行うこととなりました。

今年は、毎年参加していただいている地域住民の方々に加え、西多摩自然フォーラム生物部会のメンバーが4人参加してくれ、昨年に引き続き東京農業大学のヤド研(野生動物研究会)メンバーも8人参加してくれました。心強い限りです。

車に分乗し意気揚々と目的地の谷戸に向かいます。

到着後、シャベル等の用具を持って全員集合。

ノンちゃんとカエル王子による趣旨説明の後、自己紹介を行いました。

今回は、作業をしていただく参加者に加え、取材のために朝日新聞の記者が参加してくれました。

さて、2つのグループに分かれて既設カエル池の拡張・浚渫と新たなカエル池掘りを行います。

ヤド研のメンバー8人は、上流部に移動して山際に新たな産卵池を掘ってもらうことにします。

 

東京農業大学 ヤド研のメンバー 東京農業大学 ヤド研のメンバー
東京農業大学 ヤド研(野生動物研究会)のメンバー

 

今年もヤド研メンバーは真冬にもかかわらずTシャツや作業着に着替えて、ガンガン池を掘っています。

恐るべきヤングパワー! 泥んこになりながら1時間程度の間に目標の面積を掘り上げてくれました。

 

ヤド研メンバーにより新たに創出されたカエル池 ヤド研メンバーにより新たに創出されたカエル池
ヤド研メンバーにより新たに創出されたカエル池

 

その他の参加者は、二手に分かれて既設カエル池の浚渫と拡張を行います。

それぞれのペースで順調に作業が進みます。

重労働で泥んこになってしまう作業なのですが、皆さん笑顔で楽しく作業をしてくれています。

時々池の中から越冬中のヤマアカガエルが現れ、皆を楽しませます。

プロジェクトを始める前は、産卵に訪れることの無かったヤマアカガエルですが、今では春先に多くの個体が産卵に訪れるようになっています。

 

土砂の堆積した既設のカエル池を浚渫するメンバー 土砂の堆積した既設のカエル池を浚渫するメンバー
土砂の堆積した既設のカエル池を浚渫するメンバー
ヤマアカガエル 浚渫したカエル池
ヤマアカガエル 浚渫したカエル池

 

既設カエル池の浚渫と拡張作業も終わったようです。

まだ時間があるので、全員で新しいカエル池を掘ることにします。

1箇所に20人近くが集まって作業をするので、いささか過密状態です。

フジの根が張っていて苦労しましたが、1時間程度で、なんとか堀上げることが出来ました。

 

新たな池を掘る参加者 新たな池を掘る参加者
新たな池を掘る参加者 新たな池を掘る参加者
新たな池を掘る参加者

 

浚渫の後は、スギやモミの枝を池底に挿し、その上からアライグマ対策として水面にあたる位置にシェルターとして葦簀を設置します。

全ての作業が終わって、遅めの昼食タイムです。ノンちゃんお手製の豚汁で心身ともにあったまります。

 

昼食の様子 昼食の様子
昼食の様子

 

後は、予定通り水が溜まり、春にカエルやトウキョウサンショウウオが産卵に訪れてくれるのを待つだけです。

全員集合して記念撮影を行ない「カエル池 プロジェクト2010〜2011」の浚渫作業の全工程は終了です。

カエル達やトウキョウサンショウウオの産卵数の増加を願って、2011年の春に行う予定の観察会を待つことにしましょう。

 

記念写真
記念写真

 

「カエル池 プロジェクト 2010〜2011」の浚渫作業が、12月12日の朝日新聞の多摩版に採り上げられました。→記事の内容

 

12月15日   さくちゃんこと佐久間聡

 

生きもの便りの目次へ戻る