さくちゃんの生きもの便り(その19) 初夏の沖縄生きもの紀行−2

6月23日

 今日もいい天気で、お昼までヤンバルで昆虫採集を行い、ホテルで休憩。
 実は今日の午後から明日の午前中まで、子供達を妻に任せて、私は東京と宮崎に住む同好者とヤンバルから望むことができる別の島に渡り、一晩かけて調査する予定です。
 妻に港まで送ってもらって、宮崎から来た友人と合流。彼とは2年以上のEメール仲間で色々と情報交換等をしているのですが、今回が初対面です。東京から来るはずのもう一人は、現在タクシーでこちらに向かっているとのこと。出発時間に遅れること10分。船長を拝み倒して待っていてもらい、やっと出発。一路目的の島へ。

 島に到着後、早めの夕食と食料や飲み物を購入して島内を下見します。目的はクロイワトカゲモドキの別亜種の観察です。環境の良さそうなポイントを3〜4箇所ピックアップして、調査開始です。

 最初の場所ではアカマタ、ヒメハブ、ガラスヒバア、クメヤモリ、ミナミヤモリ等の爬虫類やシロアゴガエル、オキナワアオガエル等は見つかりますが、肝心のトカゲモドキは見つかりません。あきらめて次のポイントに移動します。
  次のポイントは渓流があり、如何にもという場所です。滑りやすい渓流の岩を注意深く登っていきます。20〜30m位登った頃でしょうか。岩の上に綺麗なヘビがとぐろを巻いてこちらを見ています。ハブです。何と美しいヘビでしょう。「美しいものには棘がある」いや「美しいものには毒がある」を地で行っているヘビです。2人にハブがいることを知らせ、注意を促します。散らばっていた2人が集まってきます。その時、渓流から離れていた一人がトカゲモドキを目撃しました。

オキナワアオガエル
ハブが写っていたはず
(カメラが壊れてしまった)

 一瞬、空気がざわめいた感覚に陥りました。森の守り神のハブと、ハブに守られた森で生き延びてきた原始的なトカゲモドキ。その聖域に踏み込んだことを実感したからかもしれません。
 結局この夜は、3匹のハブと少数のトカゲモドキを観察することができました。少ないながらハブとトカゲモドキの写真も撮影したのですが、沢を下りる時に足を滑らせてしまい、ストロボは弾け飛び、カメラも壊してしまいました。撮影したフィルムだけでもと思ったのですが、全てのフィルムが半分真っ黒の状態になっていました。無断で聖域に入り込んだ罰だったのかもしれません。


6月24日

 港まで妻に迎えに来てもらって、家族と合流後、ホテルに帰って休憩。どうも港で野宿をしてしまったために疲れが出てしまったみたいです。
 午後は、やんばる野生生物保護センターを見学後、比地の大滝でアオカナヘビを観察しながら昼食。

 昼はホテルに帰って、海やプールで過ごし、夜は家族全員で夜のヤンバルの森へ。今夜は家族全員が軽装のままでの観察スタイルのため、林内に踏み込んだ観察は行わないで、林道に出てきている生きものを見付けては、車を停めて観察します。
 カメラを壊してしまったので、妻のコンパクトカメラでミナミヤモリを捕まえて観察している様子を撮影してもらいました。

やんばる野生生物保護センターの外観※拡大なし
アオカナヘビ

 今年も満天の星空の元、ホタルの群れ飛ぶ渓流と重厚な森を家族で訪れることができて嬉しく思いながらヤンバルの森を後にしました。

ミナミヤモリを捕らえて観察している様子
6月25日  

 今日は、横浜に帰る日です。
 ホテルのプールや海でのんびりと過ごし、牧志の公設市場によって食材を買って帰るはずが・・・。またしても公設市場が休み。聞く所によると、毎月第4日曜日は休みとのこと。がび〜〜ん・・・。
 それでも近くのスパーや八百屋で、豆腐や沖縄麺、野菜等を買い込んで家路につきました。

 今回の生きもの便りは、旅行中に渓流で足を滑らせて、カメラを壊してしまったため、多くの写真を載せることができなくなってしまいました。ごめんなさい。

ホテル
海
※拡大写真はありません

 沖縄の豊かな自然や文化は、我々日本人が誇れるものの一つだと思います。
 沖縄を問わず、豊かな自然や文化を次世代に引き継ぐことは、我々の義務ではないかと思うのです。

梅雨明けの沖縄の空 ソテツの花
7月30日   さくちゃんこと佐久間聡

文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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