さくちゃんの生きもの便り(その9-1)
 

●ドングリ探し-落葉広葉樹

  やっと秋らしくなってきました。そこで、10月11日の体育の日を利用して、東京と横浜の2箇所の公園に家族でドングリ探しに行ってきました。今回の生きもの便りは、その時に見つけたドングリと西丹沢に行って見つけた合計14種類のドングリを紹介したいと思います。

  そもそもドングリとはブナ科の植物の果実(堅果)の総称で、世界で約900種程度が知られています。
  ブナ科の植物は、東北日本のブナや西南日本のシイ類やカシ類など、日本の温帯で多く見られる林で優占する植物です。日本以外でもヨーロッパや北米などの北半球の温帯林に多くの種類が自生していて、オークと呼ばれています。熱帯地域でも東南アジアの山地に自生していて、ボルネオ島やスマトラ島などで大きなドングリを拾った経験があります。
 ブナ科の植物はドングリは食用として、また木材は家具材や炭材、コルク材、独楽などの遊具材、シイタケ栽培のほた木として利用され、なじみの深い植物です。

 前置きはこのくらいにして、まず最初に紹介するグループは、落葉広葉樹(冬になったら葉が落ちる種類)のグループです。


■クヌギ
※樹の名称をクリックすると、拡大写真が表示されます。

 オオムラサキの時にも紹介しましたが、雑木林を構成する主役の一つです。野山でよく見かけますが公園にもよく植えられています。
  大きくて丸い立派なドングリで、ぼうし(殻斗)はおわん型ですが花びらの様な突起(反り返った鱗片)が沢山あるため、鳥の巣の中にドングリが入っているように見えます。

   

■アベマキ
  山陽地方の山地に自生していて、クヌギに大変よく似た樹木です。樹皮が厚くコルクを採取することもありますが、通常、ワインの栓などに使用するのは地中海地方に分布するコルクガシです。
  ドングリもクヌギに似ていますが、少し長細い形をしているので区別できます。
  関西より東の地域では見ることの少ない樹木です。

 

■コナラ
  クヌギと同じように雑木林を構成する主役の一つです。野山でよく見かけますが公園にもよく植えられています。
 楕円や細長い形のドングリです。ぼうし(殻斗)はおわん型で鱗状の模様(鱗片)があります。

 

■ミズナラ

 コナラによく似ていますが、コナラに比べてより標高の高い山地で見かけます。
 ドングリもコナラに似ていますが、より大型のりっぱなドングリです。

■ブナ
 亜高山に多く自生していますが、寒い地域では平地や山地でも見ることができます。白神山地のブナ林が世界遺産に登録されたことでも有名です。
 ドングリは1cm前後と小さく、形は3稜形です。先のとがったとげのある殻(殻斗)に包まれていて、それが4つに裂けると中に2つのドングリが入っています。よく似た種類にイヌブナがあります。

   

■クリ

 野山や山地で見かけますが、果樹として栽培されていて、秋の味覚の1つです。
 ドングリ(クリの実)は1〜3個が1個のいが(殻斗)に入っています。そう、クリもドングリの仲間なのです。

■アメリカガシワ(ピンオーク)
 北米原産のドングリで日本で見かけることは少ない種類です。
 クヌギに似て大きくて丸い立派なドングリですが、ぼうし(殻斗)は浅いベレー帽の様な形をしています。

   

■トチノキ
 これはドングリの仲間ではありませんが、クリの実を丸めたような可愛らしい実を付けます。トチ餅などの食用として利用されるため馴染みの深い実です。
 
写真のトチの実は群馬県の山中で見つけたもので、ニホンザルが囓った実もありました。ドングリやトチの実を始めとする多くの果実は、野生動物にとって重要な食料になっているのです。

   

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文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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