さくちゃんの生きもの便り(その3)
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本格的な春到来です。公園や野山のツツジ類も満開です。クヌギやコナラ等の落葉広葉樹も葉を広げました。新緑で野山の木々が黄緑色の化粧をしたようです。この頃になると、公園や野山を飛ぶ比較的大きな蝶々を見かけるようになります。アゲハチョウの仲間です。第3回目は、比較的身近でも見かけることができるアゲハチョウの仲間の紹介をしましょう。 アゲハチョウの仲間は冬の間を蛹で越して、ツツジの花が咲く頃になると一斉に羽化を始めます。まず、公園や緑の多い住宅地、野山等で一番よく見かけるのはアゲハです。ナミアゲハとも言います。 アゲハは、私の住む横浜では、4月上旬〜中旬に姿を現します。暖かい地域では3月下旬、寒い地域では5月中旬位に姿を現して、1年間で5回から6回発生します。主に、人家の庭に植えられたミカン類やサンショウ等を食べて育つため、家の近くでもよく見かけます。 幼虫は、4齢までは鳥の糞に似た黒と白の模様をしていますが、終齢になると緑色の芋虫に変身します。 アゲハをよく見かける所に住んでいらっしゃったら、サンショウやミカン類の苗や鉢を庭やベランダに置くだけで、卵を産みに来ると思います。私が以前住んでいたマンションの4階のバルコニーにも卵を産みに来ていました。 |
アゲハ |
キアゲハは、アゲハと同じ時期に姿を現しますが、1年間で2回から4回位しか発生しません。主に、セリ科の植物のニンジンやミツバ、セリ、パセリ等の畑で栽培されている植物を食べて育つため、畑の近くや明るい草原等でよく見かけます。キアゲハは、アゲハとよく似ていますが、前バネの基部(付け根)の所が全体に黒いので区別できます。幼虫は、4齢までアゲハと同じように鳥の糞に似た黒と白の模様をしていますが、オレンジ色の斑点があり目立ちます。終齢になると緑色と黒色の縞模様で黒色の縞にオレンジ色の斑点がある、綺麗な芋虫に変身します。 |
キアゲハ |
幼虫左:終齢幼虫、右4齢幼虫 |
アオスジアゲハは、アゲハやキアゲハより少し遅れて姿を現し、通常3回から4回発生します。主にクスノキ科のクスノキやタブノキ、ヤブニッケイ等の植物を食べて育ちます。そのため海岸付近の林や神社の境内等でよく見かけますが、さくちゃんの住む横浜等では、公園や道路の街路樹にクスノキが沢山植栽されているためこのようなところでも沢山見ることができます。
飛び方が速いのですが、ハネに青い筋があるため、他の仲間と間違えることはないと思います。 幼虫は小さい時から緑色をしています。 |
アオスジアゲハ |
最後に、少し変わった白いアゲハチョウの仲間、ウスバシロチョウの話をしましょう。日本には、3種類のウスバシロチョウの仲間が住んでいます。その内、ヒメウスバシロチョウとウスバキチョウは北海道だけに棲んでいます。もう1種類のウスバシロチョウは本州と四国と北海道に棲んでいます。
ウスバシロチョウは、4月下旬から5月にかけて姿を現します。1年間に1回だけしか発生しません。主にケシ科のムラサキケマンやエンゴサク等の植物を食べて育ちます。そのため、低山地から山地の畑の周りや河川敷などで見かけます。飛び方が緩やかで、ハネを広げて滑空するように飛んでいます。 シロチョウの仲間とは、大きさが少し大きいこと、鱗粉が少なくハネが透明がかっていること、胴体に黄色い毛が生えていることなどで区別がつきます。 氷河期から生き残っている仲間で、生きた化石と言われています。 |
ウスバシロチョウ |
家の近くには、どのようなアゲハチョウが棲んでいるのか調べてみて下さい。今回は紹介しませんでしたが、黒い大きなアゲハチョウの仲間を見つけることができるかもしれません。 5月下旬〜6月には幼虫が見られるはずです。見つけたら飼育や観察をしてみてください。 アゲハチョウの仲間の幼虫は、刺激を与えるとオレンジ色の角(臭角)を出して外敵から身を守ります。とても臭い匂いです。ぜひ、経験してみて下さい。 私は、生き物をただ眺めるのではなくて、捕まえてよーく観察したり、触ったり、匂いを嗅いだりすることを勧めています。それは、より深い形で身近な自然とのふれあい体験を通じて、自然の不思議さやおもしろさを理解してもらいたいからです。 ただ、少ないですが生物の中には触ると危険なものもいます。その生き物の特性をよく理解した上で行動していただきたいと思います。また、生き物を触った後などは、必ず手を洗って下さい。 では、アゲハチョウの仲間のお話はこれで終わります。次回をお楽しみに。 |
1999年4月27日 |
文と写真:佐久間 聡(さくま さとし) お便りの宛先は、saku@youchien.net です。 |
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