その1 ヒキガエル

さくちゃんの生きもの便り (その1


 随分と温かくなり、桜や菜の花も随分と咲いてきました。 寒い冬を過ごした生き物達も冬眠からさめて、動き出す季節です。 これから、毎月1回の割合で、その季節に見られる身近な生き物の紹介を行いたいと思っています。 もし、解らないことがあったら気軽にお便りを下さい。

 
さーて、第1回目は、ヒキガエルのお話です。 みなさんの住んでる近くの公園(木が沢山生えているような)や林の中に池や沼がありますか? お花見や散歩で公園や林にでかけて池や沼を見つけることができたら、気を付けて水の中をのぞいてみて下さい。 水の中に、ぶよぶよで黒い点々が沢山入った透明のながーいロープのようなものが見つかるかもしれません。そう、これがこれからお話しするヒキガエルの卵なのです。 温かいところでは、小さな黒いオタマジャクシになっているかもしれません。


 
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ヒキガエルの生活

 ヒキガエルは、3月に入ると冬眠から醒めて土の中や落ち葉の下から出てきます。そして1年に1回だけ、春のこの時期に卵を産むために池や沼に集まってくるのです。もともと林の中に住んでいますから、泳ぎがうまくありませんし、脚には小さな水掻きしかありません。だから卵を産んでる途中で、溺れて死んでしまうものもいます。
 無事に卵を産み終えた親ガエル達は、林の中に帰っていきます。
そして春から秋までは林の中で昆虫やミミズなどを食べて生活し、冬になると冬眠します。夏の雨上がりの夜などには、公園の水銀灯の近くに出てきて虫を食べているものを見ることができると思います。
 
ヒキガエルの種類
 日本には5種類のヒキガエルが棲んでいます。サツマヒキガエル、アズマヒキガエル、ミヤコヒキガエル、ナガレヒキガエル、オオヒキガエルの5種類です。
 その中で私が住んでいる関東地方に棲んでいるヒキガエルは、アズマヒキガエルとサツマヒキガエルです。元々はアズマヒキガエルしか棲んでいなかったのですが、最近では東京などの都市に人が放したものが棲み付くようになりました。
 
オタマジャクシの飼い方
 もし、オタマジャクシを家で飼ってみたい方は、少しだけ(5〜10匹程度)つかまえて飼ってみて下さい。卵も同じです。沢山つかまえると世話が大変だし、元々棲んでいる池や沼のカエルがいなくなってしまいます。
 オタマジャクシを飼うためには、まず水槽か飼育用のプラスチックケースを用意します。バケツなどでもかまいませんが、横から観察がしやすいので、水槽や飼育用のプラスチックケースの方が良いと思います。
 その中に15〜20cmの水を入れます。水は、水道水を使うのだったら液体中和剤(ペットショップにあります)を入れて使いますが、バケツなどに1日ぐらい溜め置きした水道水でもかまいません。水の中には、オタマジャクシが休む場所として水草を入れてあげます。
 ここまで準備ができたら、オタマジャクシをつかまえてきて入れてあげましょう。 水槽は、窓辺などの明るい場所に置いて下さい。ただし、直射日光は避けて下さい。
 餌は、熱帯魚用(草食魚用)の配合飼料を毎朝1日で食べつくす量を与えます。夜になったら食べ残した餌をすくいだし、新しい水をたしてやります。
 後ろ足が生え、前足が出てきたら発泡スチロールや浮き草で陸を作ってあげて下さい。このころになると餌もあまり食べなくなりますから、量を加減してください。
 後ろ足や前足が生えると尾が短くなってきますし、えらもなくなってきて、だんだんカエルらしくなってきます。ただ、ここまで育つと、餌は生きた小さな虫(ショウジョウバエやアブラムシなど)を与えなければいけなくなるため、飼うのが大変になります。もといた池のそばの林に放してあげましょう。
 
 オタマジャクシの世話をした時は、かならず手を洗いましょう。また、オタマジャクシの育つ様子は、しっかりと観察して、飼育日記などで記録し残しておきましょう。
 
 では、ヒキガエルのお話はこれで終わります。次回をお楽しみに。

文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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