カエルツボカビ症について  
   

カエルツボカビ症とは、Batrachochytrium dendrobatidis というツボカビの一種がカエルの皮膚に寄生すると、カエルは皮膚機能障害を起こし、処置をしなければ感染したほぼ全ての個体(致死率90%以上)が死んでしまうと言う恐ろしい病気です。
海外では、特にオーストラリアや中米の野生の両生類がツボカビ症に感染し、多くの種が絶滅に瀕しているなど、壊滅的な打撃を与えています。

現在日本で確認されたツボカビ症に感染したカエルは、海外から輸入されて飼育されていた個体です。
日本に生息するカエルやサンショウウオのツボカビ症感染対策は「これ以上ツボカビ症を海外から持ち込まず、また、野外に出さないこと」が基本です。
それは、野外にツボカビが侵淫した場合、根絶が不可能になること(飼育下であれば、疾病コントロールは可能)。もしカエルが絶滅すると、他の動物(特に主にカエルを捕食する動物)の絶滅の連鎖を引き起こす恐れがあるからです。

日本は、東西・南北に細長い地形に伴う気象条件の多様さや地史などを背景として、多様で豊かな自然環境を有しており、多くのカエルやサンショウウオが生息しています。しかし、島国ゆえに脆弱な環境でもあるのです。
もし、ツボカビが野外に侵淫した場合、日本中の多くのカエルやサンショウウオが壊滅的な影響を受けると思われます。
では、我々にできることは何でしょうか?
 
カエルやサンショウウオを飼育している人は、絶対に飼育個体を野外に放さないこと。
カエルやサンショウウオをむやみに飼育しないこと(飼育個体が死ぬまで飼育する覚悟を持つこと)。
もし両生類を購入する場合は、トレーサビルティ(採集や繁殖場所・流通の履歴・検疫実施の有無などを辿ることができること)が確保できている個体を購入すること(インターネットのオークションサイトなどでは絶対に購入しないこと)。
飼育個体に異常があった場合は、すみやかに動物病院や専門の研究機関へ連絡をすること(飼育個体や飼育ゲージの処置方法は下記のサイトに詳しく記述してあります)。
野外で同時に多数の両生類が死んでいた場合は、すみやかに動物病院や専門の研究機関へ連絡をすること(佐久間宛てにメールしていただいても結構です)。
ツボカビ症が流行している国でトレッキングや観察に使った靴は、靴底に付いた土を良く洗ってから使うこと。
 
みんなの力で、日本のカエルやサンショウウオをツボカビ症から守ろうではありませんか。
ツボカビ症に関連する詳細情報(動物病院や専門の研究機関情報を含む)は、以下のホームページを御覧下さい。

 日本獣医病理学会/日本獣医病理学専門家協会
  http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/byouri/JSVPJCVP/index.html
 (社)日本獣医学会  http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/index.html
 麻布大学  http://www.azabu-u.ac.jp/
 WWFジャパン  http://www.wwf.or.jp/chyt2007/
 日本動物園水族館協会  http://www.jazga.or.jp/
 日本爬虫両棲類学会  http://zoo.zool.kyoto-u.ac.jp/herp/indexj.html
 日本野鳥の会  http://www.wbsj.org/info/press/070112.html
 野生生物保全繁殖専門家グループ日本委員会  http://home.t01.itscom.net/hori//CBSG-J/
 生物多様性JAPAN  http://www.bdnj.org/index.html
 
2007年1月24日 佐久間 聡

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